近年、ゲームや動画視聴など室内での遊びが中心になり、子どもの運動不足は年々深刻になっています。さらに、夏の気温上昇が続く近年は、熱中症リスクから屋外活動をためらう家庭も増え、運動不足に拍車がかかっています。
運動不足は体力の低下だけでなく、脳の発達や精神的な安定にも影響することがわかっています。しかし、暑い時期や天候の悪い日は特に安全に体を動かせる環境は限られているのが現実です。
この記事では、子どもの運動不足が発達に与える影響を解説した上で、運動不足の解消に役立つ習い事・スポーツを特徴別に紹介します。また、室内で全身を動かせるダンスが、熱中症対策としても習い事の選択肢として注目されている理由についても詳しく解説します。
この記事でわかること
- 子どもの運動不足が発達に与える具体的な影響
- 運動不足解消に向いている習い事・スポーツの特徴
- 室内スポーツの中でもダンスが特に注目される理由
- 子どものダンススクールを選ぶ際のポイント
目次
子どもの運動不足はなぜ深刻?現状と発達への影響

子どもの運動不足は近年に始まった問題ではなく、体力・運動能力の低下傾向は長期にわたって続いています。習い事や課外活動を選ぶ際の判断材料として、運動不足が子どもの発達にどのような影響を与えるかを理解しておくことが重要です。
運動不足の子どもが増えている背景
子どもの運動不足が広がっている主な要因は、生活環境の変化にあります。スポーツ庁の調査によると、体力合計点は中学校男子を除いてコロナ前の水準には至っていません。長期的に見ると昭和60年頃をピークに低下傾向が続いており、近年は低水準での推移が続いています。

出典:スポーツ庁「令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査 の結果について(概要)」
また、1週間の総運動時間が420分以上の割合は小中学校男女ともに減少傾向にある一方、60分未満の割合は小中学校男女ともに増加傾向にあります。

出典:スポーツ庁「令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査 の結果について(概要)」
さらに、平日の学習以外のスクリーンタイム(テレビ・スマートフォン・ゲーム機器などの画面視聴時間)が3時間以上の割合は、小中学校の男女ともに増加傾向にあることも同調査で明らかになっています。ゲームや動画視聴に多くの時間が使われるようになったことで、屋外で体を動かす時間が削られていると言えるでしょう。加えて、近年の猛暑により夏場の屋外活動を制限する家庭が増えていることも、運動量の低下に影響していると考えられます。
同調査では、運動時間が長い児童生徒ほど体力合計点が高くなる傾向が明確に示されており、日常的な運動習慣の有無が子どもの体力水準に直結していることがわかります。
出典:スポーツ庁「令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査 の結果について(概要)」
運動不足が子どもの発達に与える影響
運動不足が続くと、体力が落ちるだけでなく、集中力や意欲といった精神面にも影響が出ることがわかっています。東京都教育委員会「総合的な子供の基礎体力向上方策」では、体力は勉強や日常生活を支える土台であり、体力の低下は子どもの活力や意欲の低下にもつながると示されています。
運動不足の主な影響は以下のとおりです。
| 影響の種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 体力・運動能力の低下 | 持久力・筋力・柔軟性の低下、スポーツ全般の動作習得が遅れやすくなる |
| 認知機能への影響 | 集中力・記憶力・判断力の発達が十分に促されにくくなる |
| 精神面への影響 | 気力や活力が低下しやすくなる |
| 生活習慣病リスク | 肥満傾向の増加、将来の生活習慣病につながる可能性がある |
運動の機会を日常の中に確保することは、子どもの心身の健全な発達において不可欠な取り組みと言えます。
幼児期・学童期の運動経験の重要性
スポーツ科学の分野では、幼児期から学童期にかけては神経系が著しく発達する時期であり、この時期に多様な動きを経験することがその後の運動能力の習得に大きく影響するとされています。特に3~12歳は「プレゴールデンエイジ」「ゴールデンエイジ」と呼ばれ、運動の基礎を身につける上で最も効果が高い時期です。
この時期に特定の競技技術だけを先取りするのではなく、走る・跳ぶ・回る・リズムに合わせて動くといった幅広い動作を経験させることが、将来の運動能力の土台になります。習い事や課外活動を通じて、日常的に体を動かす機会を意識的に設けることが大切です。
子どもの運動不足解消におすすめの習い事・スポーツ

運動不足の解消を目的に習い事を始める場合、どの種目を選ぶかによって得られる効果や継続しやすさが異なります。以下では、子どもに人気の5つの習い事・スポーツについて、それぞれの特徴を整理します。
ダンス:全身を動かし、運動能力と表現力を同時に伸ばす
ダンスは音楽に合わせてジャンプ・ターン・ステップなど多様な動作を組み合わせる全身運動です。バランス感覚・リズム感・空間認識力などの「コーディネーション能力」をまとめて鍛えられるため、他のスポーツにも応用できる基礎的な運動能力が育ちます。
また、言葉を使わずに体で感情や意図を表現する場面が多く、表現力や創造性も自然に育まれます。仲間と踊る経験は協調性の向上にもつながり、運動能力・表現力・社会性を同時に伸ばせる点がダンスの大きな特徴です。レッスンはスタジオなど室内で行われることがほとんどであるため、天候や気温の影響を受けずに年間を通じて続けられます。
サッカー・野球:チームプレーで協調性も育む
サッカーや野球は、走力・瞬発力・持久力を総合的に鍛えられる習い事です。チームで目標を共有しながら競技するため、コミュニケーション能力や協調性を育てる機会も豊富です。地域のスクールやクラブチームが各地に存在し、始めやすい環境が整っています。
一方、屋外での練習が中心のため、夏場の猛暑時や雨天時には練習中止になるケースがあります。熱中症リスクへの対応が、継続する上での課題になる場合があります。
水泳:全身運動で基礎体力・心肺機能を鍛える
水泳は体への負担が少ない全身運動であり、基礎体力・心肺機能が鍛えられます。室内プールを利用することが多いため、天候の影響を受けにくく、年間を通じて通いやすい習い事です。
小学校の体育授業でも水泳は必修とされており、幼いうちから通い始めることで授業への適応がスムーズになるという利点もあります。男女を問わず長年高い人気を維持している習い事のひとつです。
武道:集中力・礼儀・精神的な強さを同時に育てる
柔道・空手・剣道などの武道は、体を鍛えるとともに、礼節や精神的な強さを育てる習い事として知られています。反復練習と型の習得を通じて、集中力と忍耐力が養われます。
多くの道場が室内環境で練習を行いますが、施設によって空調設備の有無が異なるため、夏場の環境については事前に確認することをおすすめします。
体操・新体操:柔軟性・体幹・バランス感覚を体系的に養う
体操・新体操は、柔軟性・体幹の安定・空間認識力をバランスよく鍛えられる習い事です。安全管理が行き届いた室内施設でレッスンが行われることが多く、低年齢から始めやすい環境が整っています。
身体の使い方を体系的に学べるため、他のスポーツや運動に応用できる基礎能力を育てることが可能です。柔軟性を重視した動きは怪我の予防にも役立ち、継続することで体幹の安定やバランス感覚の向上も期待できます。
子どもの運動不足解消にダンスがおすすめな理由

数ある習い事の中でも、ダンスは子どもの運動不足解消に特に適した選択肢です。安全性・継続しやすさ・発達への効果という観点から、他の習い事と比較してもバランスのよい特徴を持っています。
暑い時期でも天候を気にせず続けられる
運動不足の解消には、継続的な運動習慣が欠かせません。その点で大きな優位性があるのが、ダンスのレッスン環境です。
屋外スポーツ(サッカー・野球など)は、猛暑や雨天の際に練習が中止になるケースが多く、夏場の運動機会が確保しにくいという課題があります。一方、体育館で行われる室内スポーツも、空調設備が十分でない施設では熱中症リスクが残ります。文部科学省の調査(令和7年5月1日時点)によると、公立小中学校の体育館などにおける空調設備の設置率は22.7%にとどまっており、室内でも暑さへの対応が不十分な環境は少なくありません。

出典:文部科学省「公立学校の体育館等の空調(冷房)設備設置状況について」
これに対してダンスのレッスンは、空調が完備された専用スタジオで行われることが一般的です。真夏でも快適な室温の中で全身を動かすことができるため、熱中症リスクを気にせず年間を通じて継続しやすい環境が整っています。
体力・柔軟性・リズム感など、スポーツ全般に応用できる能力が養える
ダンスのレッスンで身につく能力は、ダンスの上達だけにとどまりません。ジャンプ・回転・ステップといった多様な動作を繰り返す中で、バランス感覚・反応能力・定位能力(空間内での位置や方向を把握する力)などの「コーディネーション能力」が育まれます。
コーディネーション能力は、あらゆるスポーツに共通する身体操作の基盤となる能力です。神経系が著しく発達する幼児期から学童期にかけてこの能力を鍛えることで、習得した身体感覚はサッカー・水泳・体操など他の運動場面でも活かされます。
また、音楽のリズムに合わせて体を動かす練習を繰り返すことで、聴覚・視覚からの情報をもとに体をスムーズに動かす「リズム化能力」も同時に育まれます。リズム感は、運動全般における動きのタイミングや協調性に深く関わる基礎能力として重要です。
出典:山口大学教育学部教授 丹 信介「コーディネーション運動について」
表現力・協調性など子どもの総合的な成長を後押しできる
ダンスは身体的な能力だけでなく、表現力・協調性・自己肯定感といった数値化しにくい力の発達にも役立ちます。音楽を通じて感情を体で表現するダンスは、言語能力がまだ発達途上にある子どもにとって、自分を表現できる場として重要です。
グループで振り付けを合わせる経験は、周囲の動きを観察しながら自分の動きを調整する協調性を育てます。発表会などの舞台経験を通じて「人前で表現することへの自信」が積み重なり、挑戦意欲や自己肯定感の向上にもつながります。
子どものダンススクールを選ぶポイント

ダンスの効果を最大限に引き出すには、子どもの発達段階や生活リズムに合ったスクール選びが重要です。以下の3つのポイントを参考に、長く安心して通える環境を見つけましょう。
年齢・スキル別のクラス編成があるか
子どもの発達段階に応じた適切な指導を受けるためには、年齢やスキルによってクラスが分けられているスクールを選ぶことが大切です。年齢やレベルが大きく異なる子どもが同じクラスで学ぶ環境では、指導内容が一人ひとりに最適化されにくくなります。
幼児期は「楽しみながら体を動かすこと」を重視し、学童期には基礎的な技術を段階的に積み上げていく構成が、継続的な成長を支えます。年少・年長・小学校低学年・中学年・高学年と年齢別にクラスが設けられているスクール、または初心者・経験者別にクラスが分かれているスクールを選ぶと、子どもが「自分にもできる」という実感を持ちながら通い続けやすくなります。
体系的なカリキュラムに基づいているか
「好きな曲に合わせて踊るだけ」ではなく、リズムトレーニング・アイソレーション(体の各部位を独立させて動かす基礎訓練)・ステップ練習など、体系的なメソッドに基づいたカリキュラムがあるかどうかを確認することも重要です。
カリキュラムが整備されているスクールでは、基礎から応用へと段階的に積み上げていくことができ、スキルの定着スピードが高まります。体験レッスンやスクールの説明会の機会を活用して、レッスンの流れや使用するメソッドについて事前に確認しておきましょう。
指導の専門資格を持つ講師がいるか
子ども向けのダンス指導には、ダンスの技術力だけでなく、子どもの発達段階や心理に関する知識も必要です。ダンサーとしてのスキルが高いことと、子どもにわかりやすく指導するスキルは必ずしも同じではありません。
指導者が専門的な資格や公的機関の研修を受けているかどうかは、指導の質を裏付ける客観的な指標になります。子どもが安心してレッスンに参加できる雰囲気かどうかも、体験レッスンを通じて直接確認することをおすすめします。

画像出典元:JDACダンススクール
JDACダンススクールでは、スポーツ庁・厚生労働省・こども家庭庁後援の研修を受講した有資格者の講師が全クラスを担当しています。年齢別の身体能力やスキルに応じたクラス編成と体系的なカリキュラムのもと、子ども一人ひとりの発達段階に寄り添った指導を行っています。
まとめ

子どもの運動不足は体力の低下にとどまらず、脳の発達や認知機能・精神面の健康にも影響することが、調査・研究で明らかになっています。特に神経系が著しく発達する幼児期から学童期にかけての運動経験は、将来の運動能力や学習習慣の土台となる重要な時期です。
運動不足の解消に向けた習い事を選ぶ際は、続けやすさ・安全性・得られる能力のバランスを総合的に考えることが大切です。なかでもダンスは、室内のスタジオで行われるレッスンが中心であるため、天候や気温に左右されず年間を通じて継続しやすい環境が整っています。
また、リズム感や表現力など、さまざまな能力をバランスよく育てられる点も、運動不足の解消を目的とした習い事として注目されています。

画像出典元:JDACダンススクール
JDACダンススクールでは、スポーツ庁・厚生労働省・こども家庭庁後援の研修を受講した有資格者の講師による指導のもと、年少(満3歳)から通えるクラスを用意しています。無料の体験レッスンも実施していますので、子どもの運動習慣づくりの第一歩として、ぜひお気軽にお申し込みください。
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一般社団法人ダンス教育振興連盟JDACは、スポーツ庁・厚生労働省・こども
家庭庁・各教育委員会後援のもと、全国各地で延べ30,000人が受講しているダ
ンス指導研修会を主催。文部科学省の学習指導要領に基づいた内容で、ダンス
講師・インストラクターを養成し、資格を発行しています。他にも「ダンスで
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この記事を監修した人
一般社団法人ダンス教育振興連盟JDAC 顧問 春日 晃章
岐阜大学教育学部・大学院教育学研究科 教授。博士(医学)。専門は子ども発達学。
子どもの心身の成長を支える施策に関して、文部科学省、スポーツ庁、日本スポーツ協会において主要委員を歴任。著書に『幼児期運動指針実践ガイド』『幼児のからだとこころを育てる運動遊び』『子どものスポーツ格差』など多数。
学校法人春日学園 理事長、岐阜大学保育園 園長を務めるほか、日本教育医学会 副会長、日本体育測定評価学会 理事として、スポーツ科学、教育・保育、発達支援分野の発展に寄与している。